World natural heritage 屋久島の世界自然遺産について
屋久島って世界自然遺産で有名だけど、そもそも世界自然遺産ってどういうこと?
何が世界自然遺産なの? そんな疑問にお答えいたします。
まずは世界遺産条約とは
「人類共通の遺産」を特定の国などのものとしてだけではなく、世界のあらゆる人にとってのかけがえのない宝として将来に渡って引き継いでいくため、1972年ユネスコ総会(フランス)で採択された条約のことです。
正式には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」と呼ばれています。
日本の世界遺産は
日本は1992年にこの条約を批准し、翌年(1993年)屋久島と白神山地が日本で初めて世界自然遺産に指定されました。世界遺産には自然遺産・文化遺産・両者の価値をあわせもつ複合遺産の3種類があります。
日本には平成25年現在、自然遺産が4件(知床、小笠原)、文化遺産が13件。複合遺産はありません。ちなみにペルーのマチュ・ピチュやトルコのカッパドキアなどが複合遺産になります。
ちなみに世界遺産に登録されれば終わりではなく、その後も「人類共通の遺産」を国を挙げて保護していく義務が発生します。
屋久島では、屋久島原生自然環境保全地域(自然環境保全法)、屋久島国立公園(自然公園法)、森林生態系保護地域(林野庁)、特別天然記念物屋久島スギ原始林(文化財保護法)などの国内法により、自然が保護されています。
ポイント:世界遺産による観光推進だけでなく、自然の保護と利用のバランスが重要だと考えています。
屋久島が世界自然遺産に選ばれた理由は
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【屋久杉の天然林】樹齢数千年にも及ぶ屋久杉が、生態的に貴重な天然林・巨樹林として有すること。
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【植生の垂直分布】海岸付近のアコウなどの亜熱帯植生から、タブ、シイ、カシなどの暖帯、モミ、ヤマグルマなどの温帯、さらにヤクザサ、シャクナゲ等の亜高山帯に及ぶ植生の垂直分布が顕著に見られること。
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多くの固有植物、北限・南限種が自生していること。
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照葉樹林が広範囲に原生状態で残っていることなどがあげられます。
屋久杉の天然林
亜高山帯の山頂風景
固有種ヤクシマシャクナゲ
広大な照葉樹の森
屋久島の世界遺産の登録基準は
【生態系】:陸上、淡水域、沿岸および海洋の生態系、動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること、
【自然美】:類例を見ない自然美および美的要素をもった優れた自然現象、あるいは地域を含むこと
の二つの項目に該当しています。
ちなみに屋久島全島が世界遺産登録地域ではありません。
島の面積の約21%が世界遺産登録地域に当たります。実は有名な観光スポット白谷雲水峡やヤクスギランドは世界遺産登録地域には含まれていません。この二箇所は自然休養林といって林野庁所管の国有林内に設けられたレクリエーションのための森林エリアになります。自然環境の保全に配慮しつつも、標識類や散策道および休憩所等の整備を行い、比較的容易に屋久島の森を鑑賞できる場所です。つまり世界遺産の登録エリアを保護しながら屋久島の森を楽しんでもらうため国が推進している場所です。世界遺産登録地域ではありませんが、誰が見ても屋久島特有の【自然美(苔むした森や屋久杉の巨木】を堪能することができますのでおすすめのコースです。
とは言っても、やっぱり世界自然遺産のエリアに行ってみたいという人は照葉樹林が広範囲に原生状態で残っている世界遺産の森をあるく西部林道エコツアーや植生の垂直分布が見られる山岳部・黒味岳登山ガイドツアーがおすすめです。
訪れる人も少ないため自然への影響も少ない場所です。
ちなみに縄文杉コースは縄文杉付近だけ世界遺産登録地域に指定されています。
このような話をしてしまうとどのコースを選べば良いのか迷ってしまうかも知れませんが、どこを訪れてみても期待を裏切らない素晴らしい自然を有しています。
ご自身の興味・体力・目的にあった場所で屋久島の自然を堪能してください。
屋久島に住んで十数年、今なお驚きや発見・感動を与えてくれるのが屋久島の自然です。